お酒の「いま」がわかる本



お酒の「いま」がわかる本
お酒の「いま」がわかる本

商品カテゴリ:一般教養,雑学,実用知識,学習
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「いま」はあまりわからないかも

 これまでおよそ40冊ものお酒がテーマの本を出してきた、山本祥一朗氏の新刊。山本氏の目から見た、お酒の「いま」である。
 もっとも、「いま」にこだわることはない。むしろ、山本氏の精力的な取材がもたらしたものを素直に読めば、けっこう楽しい本といえる。
 冒頭は、現在のお酒の飲まれている傾向、すなわち低アルコール志向や焼酎ブームについてコメントしている。その上で、お酒の妙味を知りたいのであれば、未知のお酒を時には試してみるということを勧めている。そうした好奇心を多くの人が持てば、お酒の文化は豊かになり、良質なお酒の市場が拡大するだろう。
 続いて、日本酒ファンやそれを支える人々、そして良質なお酒を造り続ける蔵元が紹介される。第4章の蔵元探訪と併せて読むと、現在山本氏が注目している日本酒のことがわかる。本当に多くの蔵元が新しい試みをし、より良質なお酒を目指しているのだ。
 その他、全国新酒鑑評会の選考の変遷についての章は、短いながら興味深いし、抜粋ではあるが、1982年当時のサントリーとニッカの社長との対談も面白い。加えて、山本氏が精力的に海外を視察し、料理やお酒を紹介している章は、ページ数の上でも読み応えがある。どこに行っても、これは日本酒と合うかどうかというコメントばかりなのは、ちょっとなあ、とも思うのだけれども。
 とはいえ、あえて言えば、本書からはお酒の「いま」はわからない。表面的には、焼酎ブームは一段落ついているし、蔵元もこれまで以上においしいお酒を造っている。にもかかわらず、お酒を消費していく、その消費者の行動の分析ができなければ、お酒についての明るい未来は希望的観測を出ない。いくら海外の人に日本酒を味見してもらったところで、現在の一定以上のクラスの日本酒は、かなり贅沢なお酒ということになる。それが業界を生き残らせるほどの市場になるとも思えない。お酒の消費全体が減る傾向、価格だけであれば日本酒は焼酎と競争できないことなどを冷静に見つめた上で、少しだけ贅沢でより豊かな消費行動の中に、日本酒の場所を見つける必要があるのではないか。山本氏はお酒を文化だと言うが、本当にそのことをきちんとつきつめる必要がある。



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