数学に関する記述以外はあまり信用しない方がいいかも…
この本の中で、筆者である足立恒雄氏は自らの専門である数学の領域から若干はみ出た哲学や物理学の文脈における無限に関しても言及していますが、そちらの方に関しては、正直、あまり信用しない方がいいのではないかと思われる記述がちらほら見られました。 この本は、歴史を古代、中世、近世、現代の四つに分け、それぞれの時代において展開された無限論を解説しているのですが、この著者はメインである「無限」という主題からしばしば逸脱する傾向があるようで、それぞれの時代の思想史的な背景などに関してもかなりの紙面を割いて言及しているのですが、その主題から外れている部分の記述に若干胡散臭さを感じてしまいました。特に。古代、中世に関する記述はこれでいいのでしょうか…?ちょっと疑問です。 しかし、筆者の記述に若干の胡散臭さがあるということは筆者自信も認めていて、その点に関しては前書きの部分に「本書は一数学者の立場から見た無限論の系譜である。したがって、哲学者や科学史家の目には多いに不満に映るに違いない」という一節があるので、この一節を信じて、「あっ、胡散臭いことも書いてあるんだな」と理解した上で読み進めていくのがいいと思います。 なんだか、「胡散臭い胡散臭い」と連呼していますが、本題の無限論に関する記述は決して胡散臭くありません。解説も平明でわかりやすく、出てくる数式も高校レベルの知識があれば文系であってもおおよそ理解できるので、そういった意味では、本書は数学的な観点から書かれた無限論の入門書としてある程度の成果は上げていると思います。
講談社
集合とはなにか―はじめて学ぶ人のために (ブルーバックス) 無限論の教室 (講談社現代新書) ゼロから無限へ―数論の世界を訪ねて (ブルーバックス 177) 〓2(るーと2)の不思議 (ちくま学芸文庫) 無限のなかの数学 (岩波新書)
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